こんにちはー!
筋トレが趣味で建築士をしている2児のパパ「マナボン」です!
今回は建築物にかかる建物高さ制限の種類とそれぞれの関係や用途地域毎にどの制限がかかるのかをご紹介したいと思います。
高さまで制限されるの?家を建てたいけど高さが制限されることなんてあるの?
ハウスメーカーの人が3階建てが無理だって言うんだけど、なんで無理なのかよくわからなかったわ
住みたい場所が高さの制限がある場所なのか調べたいです
今回はこういったお悩みをサクッと解決していきたいと思います!
- 建物の高さを制限する規制の種類
- それぞれの規制についての概要と注意点
- どこの用途地域で高さが制限されるのか
では早速いきましょー!
高さ制限に関する規制は全部で5つ
高さ制限に関する規制は大きく分けて以下の5つがあります。
- 道路斜線制限
- 隣地斜線制限
- 北側斜線制限
- 絶対高さ制限
- 日影規制
また、この中で全ての用途地域(全国どこでも)で対象となるのが、道路斜線制限のみです。
その他の4つは対象となる用途地域・対象とならない用途地域があります。
用途地域:県や市が計画的な市街地をつくるためにエリア分けをしたもの。
(大きくは住宅系・工業系・商業系の3つに分かれており、細かくは13の地域と用途地域指定のない区域に分かれています。)
もう少し詳しくみていきましょう。
道路斜線制限
道路幅と敷地の関係から高さを制限する法律です。
根拠条文は建築基準法第56条1項1号となります。
全ての用途地域内の建築物が制限対象となります。
制限がかかる主な条件は敷地前面の道路が狭い場合と建物が道路側に近いことで制限されやすくなります。
隣地斜線制限
隣地境界線と敷地の関係から高さを制限する法律です。
根拠条文は建築基準法第56条1項2号となります。
第1種・2種中高層住居専用地域、第1種・2種住居地域、準住居地域内の建築物が制限対象となります。
規制の条件は用途地域毎に異なり、住居系が一番厳しく、商業系や工業系では比較的緩くなります。
住居系の用途地域内であれば、概ね5階建て程度から制限の対象となることが多いため注意が必要です。
制限対象となるのは建物の階数ではなく地盤面からの高さのため、階数が低くても1フロアの高さが高ければ対象となることがあります。
北側斜線(高度斜線)制限
敷地に対する真北方向と敷地の関係から高さを制限する法律です。
高度斜線制限:北側斜線制限の有無に関わらず、市区町村が適正なまちづくりを目的として設けている高さ制限のことです。制限内容は市区町村独自のものになるため、窓口やHPでの確認が必要です。
根拠条文は建築基準法第56条1項3号です。
真北とは磁石が示す磁北や、市販の地図に記載されているような方眼北ではありません。
第1種・第2種低層住居専用地域、田園住居地域および第1種・第2種中高層住居専用地域内の建築物が制限対象となります。
建築予定敷地が対象となる用途地域内の場合は、北側斜線により建物高さが制限されることがよくあるため、注意が必要です。
高度斜線制限は北側斜線制限よりも厳しく設定されていることも多いです。
絶対高さ制限
建物の高さそのものが制限される法律です。
根拠条文は建築基準法第55条1項および2項です。
第1種・第2種低層住居専用地域、田園住居地域内の建築物が制限対象となります。
建築物の高さが10mまたは12mと決められていおり、これを超えることができません。
道路斜線や隣地斜線を緩和する方法に天空率という考え方がありますが、絶対高さ制限については緩和できません。
天空率:建物を空に投影し、空を平面的な円として捉えた場合、円の面積に対して建物の面積がどれぐらいの占有しているかを考えるものです。建物を除いた円の面積が大きればその分、空が多く見えていると判断します。
道路斜線や隣地斜線を緩和する法律として近年、小さい敷地や狭い敷地で新たに建物を建てようとする時などに使われている制度です。
日影制限
建物に発生する日影から高さを制限する法律です。
日影制限は敷地境界線から一定距離の範囲内において発生する日影時間を制限するものであり、隣の敷地に日影を発生させてはならないというものではありません。
また日影は建物の高さにも左右されますが、東西方向の幅がより日影の大きさに左右します。
日影規制は10mを超える建物が基本的な対象となりますが所管行政庁により対象となる用途地域や建物高さが変わるため注意が必要です。
日影制限についてはこちらの記事でさらに詳しく解説しているので参考にしてみてください。
用途地域による制限一覧
ここまでの内容を一覧にまとめましたので、時間がない時などはこちらからサクッと確認してみてください。
用途地域
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道路斜線制限
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隣地斜線制限
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北側斜線制限
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絶対高さ制限
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日影制限
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第1種低層 住居専用地域 |
⚪︎
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×
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⚪︎
|
⚪︎
|
⚪︎
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第2種低層 住居専用地域 |
⚪︎
|
×
|
⚪︎
|
⚪︎
|
⚪︎
|
田園住居地域 |
⚪︎
|
×
|
⚪︎
|
⚪︎
|
⚪︎
|
第1種中高層 住居専用地域 |
⚪︎
|
⚪︎
|
⚪︎
|
×
|
⚪︎
|
第2種中高層 住居専用地域 |
⚪︎
|
⚪︎
|
⚪︎
|
×
|
⚪︎
|
第1種住居地域 |
⚪︎
|
⚪︎
|
×
|
×
|
⚪︎
|
第2種住居地域 |
⚪︎
|
⚪︎
|
×
|
×
|
⚪︎
|
準住居地域 |
⚪︎
|
⚪︎
|
×
|
×
|
⚪︎
|
近隣商業地域 |
⚪︎
|
⚪︎
|
×
|
×
|
⚪︎
|
商業地域 |
⚪︎
|
⚪︎
|
×
|
×
|
×
|
準工業地域 |
⚪︎
|
⚪︎
|
×
|
×
|
⚪︎
|
工業地域 |
⚪︎
|
⚪︎
|
×
|
×
|
×
|
工業専用地域 |
⚪︎
|
⚪︎
|
×
|
×
|
×
|
用途地域の指定なし |
⚪︎
|
⚪︎
|
×
|
×
|
⚪︎
|
まとめ
建物の高さを決める要因についてご紹介しました。
- 許容容積率により建物高さが決められることがある。
- 道路と敷地の関係で高さが決められることがある。
- 隣の敷地境界との関係で高さが決められることがある。
- 天空率で道路斜線や隣地斜線を緩和することができる。
- 日影の大きさや時間により建物の高さが決められることがある。
- 第1種・第2種低層住居専用地域、田園住居地域は絶対高さが存在する。
以上、参考になれば嬉しいです。
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ありがとうございました。