こんにちはー!
筋トレが趣味で建築士をしている2児のパパ「マナボン」です!
今回はツーバイフォー(2×4)とはなにか。その工法の特徴やメリット・デメリットについてわかりやすくご紹介したいと思います。
そういえば、ツーバイフォーという言葉は聞いたことあるけど、実際何なのかはよくわかってないわ。
家を建てたいけど、ツーバイフォーがいいのか木造がいいのかよくわからないなぁ。
よく耳にはするものの、一体何なのかよくわからないですよね。お家を建てようとするとよく効くフレーズですが、どんなものなのか一緒に見ていきましょう。
これから家づくりを考えている方、建築をこれから学ぼうとしている方、ツーバイフォーという言葉を聞いて何となく調べてみた方など、ぜひ参考に慣ればと思います。
- ツーバイフォーとはそもそもなにか
- 木造と違うところはなにか
- ツーバイフォーを採用するメリットと注意点
では早速いきましょう!
目次
ツーバイフォー(2×4)とは?
木材の規格サイズのことで断面寸法が2インチ×4インチ(約5cm×10cm)のもののことです。
住宅でよく聞くツーバイフォー工法とはこの規格サイズの木材を使って建てる工法のことで、正式名称は木造枠組壁構法です。
アメリカやカナダなど欧米諸国を始めとした海外では木造住宅と言えばツーバイフォーなどの木造枠組壁構法が一般的です。
最大の特徴は壁構法と呼ばれているように規格化された木材で枠組を作り、パネルを貼り付けた面で支える箱を作り上げるイメージです。
木造枠組壁構法の規格はツーバイフォー(2×4)のみではなく、ツーバイシックス(2×6)と呼ばれるものやツーバイエイト(2×8)、ツーバイテン(2×10)もあります.
実際に住宅を建てる際に使われるのは木材加工場で加工後のものですので、乾燥収縮などで少し小さくなっています。
ツーバイフォー工法も建物の構造体としては木材を使っているため、木造建築物になります。
木造軸組構法(在来工法)との違い
正式名称は木造軸組構法です。日本古来から採用されている技術で、古くは縄文時代から確立されていると言われた技術です。
そのため、在来工法とも呼ばれています。
在来工法は設計段階で耐震性やコストなどを総合的に考えた上で、各部材(柱や梁のサイズ・筋かいや耐震壁の位置など)が検討され、施工段階で必要なサイズと数量を木材加工場で製材・現場で最終調整を行い建てていきます。
また最大の特徴は軸組構法という呼ばれているように柱・梁のフレームと筋かい・耐震壁を作り、箱になるイメージです。
メリット
アメリカなどの海外で一般的ということだけど、どんなメリットがあるの?
メリットは大きく7つです。
- 耐震性に優れる
- 耐風性に優れる
- 耐火性に優れる
- 高気密・高断熱
- 工事期間が短い
- 工事費用が抑えられる
- 品質が平準化されている
耐震性・耐風性・耐火性に優れる
部材が点で接合されている在来工法とは異なり、線で接合されているため頑強です。
地震などの揺れに対して6つの面で構成された箱全体で受け止め、負荷を分散させながら建物の倒壊を防ぎます。同様の理由から風にも強く耐風性に優れていると言えるでしょう。
また気密性にも通じることですが、面で箱を作っている構造のため空気の流通が少なく、火災が発生しにくい構造です。ツーバイフォーの構造がファイヤーストップ構造となっているため、延焼も起こりにくいという特徴があります。
在来工法では接合部に金物などを用いて耐震性を上げますが、専門知識や施工技術が要求されるため、品質の一定化が難しいです。
対してツーバイフォー工法を始めとした木造枠組壁構法では面の配置に関するマニュアルがあるため、品質の確保が用意という点も耐震性や耐風性・耐火性を確保することに繋がっています。
高気密・高断熱
木造枠組壁構法(以下:ツーバイフォー工法)では面で構成するため、空気の通り道が少なくなります。
そのため気密性が高く、断熱性能が高い住宅になります。
工事期間が短い
ツーバイフォー工法は規格化された材料を使うため、工場での材料確保が容易です。
また施工方法もシステム化されており、特別な技術を必要としない工法です。
また施工も工場から搬入された部材を組み立てるのみですので、工期がかなり短縮されます。
工事費用が抑えられる
工事期間が短くなるため、現場にかかる費用(主には人件費と諸経費)が抑えられ安くなります。
人件費:職人に対する費用のことですが、在来工法とは違い、熟練の技術や知識を必要としないため費用が抑えられる
諸経費:現場作業にかかる経費のことですが、施工期間が短くなればその期間分、諸経費が不要となるため費用が抑えられる
品質が平準化されている
熟練の職人さんを使わないことがあるなら、ウチの家は大丈夫なのか不安だ。せっかく建てる家なのに品質が悪いものは建ててほしくないなあ。
ツーバイフォーなら品質が安定しているので、いい意味で職人に期待しなくても大丈夫です!
ツーバイフォー工法は施工手順もマニュアル化されており、人や会社による品質の差が出ないようになっています。
例えば、組み立てる手順・パネルを設置するのに必要な釘の本数・釘を打つ場所や釘の種類などありとあらゆるものがマニュアル化されています。
まさに実物大のプラモデルのようです。
注意点
じゃあマイホームはいい事づくしのツーバイフォーで決定だなー。
メリットがあるということはデメリット(注意点)もあるのでそちらもしっかり確認しましょう!注意点は大きく5つです。
- 平面計画の自由度が少ない(将来的な間取り変更やリノベーションも難しい)
- 構造体のコストは削減できない
- 内部結露が発生しやすい
- 設計・施工をしている会社が少ない
- 工事中に雨被害にあう
計画の自由度が少ない(将来的な間取り変更やリノベーションも可能だが自由度が低い)
ツーバイフォー工法は面で構成されており、壁の設置位置などで建物強度を確保しているため、壁の位置変更・壁の取止め(2室の計画を1室にするなど)・窓を付けられる位置・窓の大きさに基準があります。
また平面計画も正方形や長方形の組み合わせになるため、曲面や台形など建物形状を一部アレンジするといったことは難しいです。
基準を超えた変更は技術的には絶対に不可能!というわけではないですが、ツーバイフォーの根本的な考え方を理解している会社でなくては耐震性や工事での品質などが確保できないため、場合によってはメリットである工事期間や工事費用を犠牲にすることにもなります。
また新築の設計時でも窓の位置変更やサイズ変更に基準があるということは将来的な間取り変更やリノベーションにおいても基準があるということです。
構造体のコストは削減できない
ツーバイフォーは構造体となる木材のサイズが規格化されており、間取りが決定すると必要な部材の数というものが決まってきます。
在来工法であれば、柱や梁などに使う樹種やサイズを調整しコストの調整が可能ですがツーバイフォーではそれができません。
内部結露が発生しやすい
これは木造の中でも、ツーバイフォー特有の注意点ですが、気密性が高いがゆえに空気が流れません。
そのため、水気が壁内部に存在していると乾燥しにくいため内部結露が発生しやすいという注意点があります。
木材をしっかりと乾燥させてから使用するなど注意が必要です。
設計・施工をしている会社が少ない
ツーバイフォー工法は高度な技術や知識を要しない工法ですが、日本においては歴史が浅く、在来工法に比べるとツーバイフォーを取り扱っている会社がまだまだ少ないです。
在来工法であれば良くも悪くもどこの工務店でも家を建てることができますが、ツーバイフォー工法は設計・施工できるところが限られています。
ただ、ツーバイフォー工法はその基本性能の高さが評価され、近年日本における着工件数が伸びてきているため、今後は逆転現象が起きるかもしれません。
工事中に雨被害にあう
ツーバイフォー工法は在来工法と異なり、1階の床から順番に組み立てていきます。構造体の工事手順は以下のとおりです。
- 基礎を作り、土台となる部分を完成させる
- 1階の床を作り、1階の壁を作る
- 2階の床を作り、2階の壁を作る
- 屋根を作る
対する在来工法は軸組から作り、すぐに屋根が取りつきます。構造体の工事手順は以下のとおりです。
- 基礎を作り、土台となる部分を完成させる
- 1階の床組を作り、1階の柱・梁を作る
- 2階の床組を作り、2階の柱・梁を作る
- 屋根の骨組みを作り、屋根を張る
- 1階の壁を作り、2階の壁を作る
近年は現場での落下事故防止のため、床組だけでなく床版まで施工することが多いです。
上記の通り、ツーバイフォー工法では在来工法とは異なり、屋根ができるまでの時間があるため雨ざらしとなる期間が長くなります。
ですが、ツーバイフォー工法に用いられる合板は撥水効果があるため、大きな問題とはなりにくいです。
在来工法との違いまとめ
ここまでツーバイフォーの特徴(メリットや注意点)と在来工法との違いをご紹介してきましたが、再度まとめです。
ツーバイフォー工法 | 在来工法 | |
建物構造 | 壁・天井・床 (面構造) | 柱・梁+筋かい・耐震壁 (軸組構造) |
耐震性・耐風性 | 箱で揺れに耐える | 筋かい・耐震壁で支える |
耐火性 | ファイヤーストップ構造 (燃えにくい) | 工夫が必要 (部材を大断面にするなど) |
気密性 | 高気密 | 工夫が必要だが限界はある |
工事期間 | 短い | ツーバイフォーに比べると長期 |
品質 | 安定している | 職人の技術力による |
計画の自由度 | 間取り・窓の位置や大きさに 基準(制約)がある | 間取り・窓の位置や大きさに 制約はあまりない |
コスト | ・構造体:削減できない ・工事費:抑えられる | ・構造体:抑えられる ・工事費: |
内部結露 | ・発生しやすい (気密性が高いため) | ・発生しにくい (気密性が低いため) |
対応可能な会社 | ・比較的少ない | ・比較的多い |
まとめ
今回はツーバイフォー(2×4)工法についてご紹介しました。
- ツーバイフォー工法とは木造枠組壁構法のことで、海外ではメジャーな工法
- ツーバイフォー工法では木材の規格サイズが2インチ×4インチと決められている
- 2インチ×6インチサイズのツーバイシックス工法やツーバイエイト・ツーバイテンなどもある
- 計画の自由度は木造軸組構法(在来工法)が有利だが、耐震性や耐風性・耐火性、気密性や断熱性はツーバイフォーが有利
- 構造体のコストを抑えることは難しいが、工事期間が短くなるため工事費を抑えることができる
- 品質は安定している
- 計画の自由度は在来工法に比べると劣る
以上、参考になれば嬉しいです!
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